本話の再現特撮は、本話の舞台となった伊豆方面をイメージしつつ、青空背景・草原土台・緑山でセット構築を行い、ヒドラに関しては、陸上での演出をソフビで、飛行形態はHGガシャポンで、それぞれ演出を行った。

コンテで「ヒドラの像」となっている部分では、実際にこのエピソードでヒドラの像として扱われた、伊豆シャボテン公園ポルカノ・プテリンクス像の写真を使用。

伊豆シャボテン公園の「荒原竜」は1963年7月に落成式が行われているので、まずこの像ありきで、それへのアテガキで本話が作られたと理解するのが正しいだろう。

同時に『ウルトラマンA』(1972年)第31話『セブンからエースの手に』に登場するピラミッド型温室は、その数か月前の3月に発表されている。

本話でも『ウルトラマン』(1966年)中期の夜間シーンを象徴する、擬似夜景的な効果を狙う意味もあって、夜間シーンは青空背景のまま、露出を落として山のミニチュアを撮影して、そこにフォトショップで加工をすることで、劇中の雰囲気再現を目指した。

やがて昼間に姿を現すヒドラ。

ハイウェイはいつもどおり、Nゲージストラクチュアの高架橋を使用。

そこにNゲージ用のダンプトラックを走らせて、それを掴み飛んで、投げ落とすヒドラの一連のシーンを再現してみた。

科特隊ビートル機編隊による「ウルトラ作戦第二号」が繰り広げられ、本話で象徴的だった「ヒドラの胸の血」をフォトショで再現。

そして登場するウルトラマンとの死闘。

そこでの殺陣は、基本的に劇中とおりだが、ラストはアキラを背中に乗せたヒドラが飛び去って、叙情的な雰囲気のまま幕を閉じる。

ヒドラ

哀しみの高原竜・ヒドラはバンダイウルトラ怪獣シリーズソフビを撮影に使用した。

ヒドラはソフビシリーズ最初期の1983年からラインナップに入っていたが、その出来は同時期の他怪獣と比較してもレベルが高い。

確かに人間的なプロポーションや小さめの羽が、ウルトラ怪獣というよりも、仮面ライダー辺りの怪人っぽさを感じさせてしまうし、ボディと腕のパーツの繋がりも、全体のラインを崩してしまっている。

しかしこのヒドラはそれ以上に、全身の鱗モールドの表現が細やかで、また、顔の造形が緻密で美しい。

初期のバンダイウルトラ怪獣シリーズ独特の欠点として、「足が棒立ちでロボットのようなつき方をしている」という点が挙げられるが、このヒドラの場合は足が尻尾と一体なので、最初から可動関着が設けられておらず、結果的に足に繋がるラインが、自然に見える効果を生んでいる。

ブルマァクの時代から、マスプロ製品の怪獣ソフビは、複数の原型師が並行して、商品原型を手がけるのが通常だが、ヒドラのその、当時としてはかなり写実的といえる顔やディティールの再現性や、腕の表情のつけ方を見る限りにおいては、このヒドラの原型師は、テレスドンやエレキングの担当の方ではなく、レッドキング(1983年版)などを担当した人であろうことが推察できる。

今回は(もう絶版の)ヒドラの最後期版を使用しているが、その独特なカラーリングをそのまま活かして、細部をリペイントした。

具体的には、正面からスプレーを吹かれただけで、塗り残し部分の多かった牙と角を、クリームイエローで塗りなおし、手と足の爪を白で塗って、瞳がなかった目に、赤と黒で瞳を描き込んだ。

後は、顔から胸にかけてに墨入れをして、首から下へだけにつや消しのスプレーを吹いた。

頭部のつやは、着ぐるみにおいても、そこだけ硬質素材で作られていたことを、ソフビにおいての表現でも考慮して、あえて残してある。

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