ポピーワールドヒーロー 1978年 3.75インチ

続いて紹介するのは、これも「ディテール関節型」の、旧ポピーから発売展開されていた、ポピーワールドヒーロー

ここからの玩具を個別に語る時に、外せないのが「ポピーが世界に進出しようとして具体策を数々打っていた」前提論と歴史の証拠である。この時期のDX超合金にプリントされた「世界の超合金」は、勢いと自己満足の冠ではなく、社運を賭けた意気込みの表れだったのである。
1978年は、他ならぬ『スター・ウォーズ』が日本公開され、その関連のケナー社の玩具が世界を席巻した一大年である。
そのタイミングで、旧ポピーは、米国マーベル社と権利交換貸し出しをすることで、日本で『スパイダーマン』『キャプテン・アメリカ』の使用権を借りる代わりに、旧ポピーからは、歴代の東映動画・旧ポピーの超合金ロボットを作品を貸し出した。
日本では、スパイダーマンはそのまま『スパイダーマン』(1978年)に、キャプテン・アメリカは、そのまま日本で活躍させるには無理があるので、女性ヒロイン、ミス・アメリカにカスタマイズして『バトルフィーバーJ』(1979年)として映像化。アメリカマーベル社側では、東映側が貸し出した『惑星ロボ ダンガードA』『超電磁ロボ コン・バトラーV』『勇者ライディーン』が活躍するコミック『ショーグン・ウォリアーズ』を展開した。

なぜこんな話をわざわざしたのかといえば、一つには誰もが「なんでこんなに似てないんだろう」と首を傾げた、ウルトラ怪獣ソフビ・キングザウルスシリーズでの、初期のベムラーやレッドキングやゲスラのアレンジディフォルメは、アレは確信犯的に対米輸出でのアメリカンテイストをそれなりに取り入れた結果であり、また、ここで紹介するポピーワールドヒーローも、1979年から、旧ポピーがライセンシーを取れるヒーロー(人間)キャラクターを、ケナー社の『スター・ウォーズ』フィギュアと全く同じ仕様、フォーマットで展開。サイズはもちろん3.75インチで、可動性は悪くサイズも小さいが、とにかくコレクションが半端なく、本家『スター・ウォーズ』シリーズからも15種類。1979年の『仮面ライダー』からは、敵怪人や敵幹部、挙句には戦闘員までラインナップ。このサイズと仕様は、後にハスブロ社に受け継がれるが、旧ポピーが、何が何でも米国進出を狙っていた時代を知る物証としては、非常に有効である。

写真で分かるとおり、このシリーズのウルトラセブンも、10cm弱で関節も殆ど可動しないフィギュアでしかないので、これ単体では今回の連載でどうこうも出来ない扱いでしかないのであるが、旧ポピー、バンダイ時代を総じてみても、ここまでの短期間でここまでラインナップを莫大に増やした商品枠が他に例がないということと、「当時の概念では『この仕様』が、最小アクションフィギュアの実例だったのだ」の気結論として、今も生きるフォーマットの一例として紹介してみた。

「70年代末に席巻した、旧ポピー製ヒーローのアクションフィギュア」の三番目としては、これを紹介しなければいけない。
旧ポピー製では初となる、タカラ変身サイボーグ1号の系譜の「素体にコスチュームを着せたヒーローフィギュア」シリーズとして貴重な冠だ。

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