だからこそ、「Zガンダムにしか見えないロボットシューティングゲーム」とか「ドラクエを和風にしただけのRPG」とか「映画や漫画のライセンシーだけとったけど、C言語も知らないチームが作っちゃった」とかがバブル景気と共に百花繚乱だったのが、時のファミコン(専門智識がない人には、PCエンジンセガサターンもファミコンに見える的な意味で)ブームだった。

そんなだから、今でこそ一流クリエイター、ゲームという億のプロジェクトを率いるプロデューサーの座にいる人やメーカーだって、あの頃はゲーム画面やシナリオや世界観のあちこちに、それまでずっと好きだった、漫画や映画のデザインや小道具やファッションや設定を目一杯入れ込んで、「あ、あんま目くじら立てないでくださいよ。うちらゲームはサブカルロードのさらに裏道で、アングラ商売で肩身を狭くして好き者相手に商いをしますんで」というのが王道だった時代が、そこに確かにあったのだ。

別冊宝島366『このゲームがすごい!’98』『このビデオを見ろ!』

今の映画界で言えば、庵野秀明三谷幸喜がそうであるように「好事家のツボを突くパロディやオマージュは、分かる人が分かるという連鎖で満足感を増幅させる」構図が、その頃のゲーム界には蔓延していた。
“あの”糸井重里氏だって、一大ヒットになった『MOTHER』『MOTHER2』は、広くハリウッド映画のジュヴナイルSFの要素を取り込みつつ、そこかしこにスティーヴン・スピルバーグへのオマージュを放り込みながら、名作は奏でられたものだ。
僕は、元映画屋として、映画マニアとして、特にゲーム専門雑誌では「さすがにそこまでの映画マニアネタだと、ゲームファンが置いてきぼりになっちゃうから」でダメが出るだろう企画を思いついた。

『ポリスノーツ』『メタルギアソリッド』等のゲームを産んだ小島秀夫監督と『バイオハザード』シリーズ。
洋画のSFとアクションジャンルへのオマージュをガンガン自作ゲームに積み上げる方程式でゲームを作っていた時代の小島監督と、とにかくゾンビエンタメの基礎の基本の、ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ映画を始めとした、特殊メイクホラー映画へのオマージュで溢れていた『バイオハザード』の両雄を取り上げて(他も取り上げ始めると、ガチで8ぺージごときではおさまりがつかなくなるので)、徹底的にその二者の作品の中にある「元ネタ映画」を、紹介していこうという企画をぶち上げた。
ゲーム専門雑誌ではなく、同じレーベルに『映画宝島』(後の『映画秘宝』)を抱えている宝島社であればこそ、可能な企画のはずだ。

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