というわけで、今日は少女漫画の話題です。

なにが「というわけ」なのかはともかく、たまにはこんな自主企画もいいだろうということで「イイトシして、見るからにワルオヤジ風に見える中年おじさんが、50年の人生でどんな少女漫画にドハマリしてきたのか」なんていうのも、一回書いてみるのも悪くないんじゃないかという、そういう「というわけ」です。

筆者が記憶している限り、最年少の少女漫画の思い出は多分、幼稚園の終わりか、小学校低学年の頃に、なぜかたまたま、自宅にコミックスが一冊だけ転がっていた、西谷祥子先生の『レモンとさくらんぼ』だったと思う。

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西谷祥子『レモンとサクランボ』

ぜんぜん内容は覚えてないし、なんでそんなもんを読んでたのかの記憶もない。
だって筆者その頃、毎週少年ジャンプで、『トイレット博士』とか大好きなガキだったのよ?

で、次に記憶があるのが、これは思春期に入る前のころで、確か河あきら先生の『いらかの波』
これは名作だったんだけど、河あきら漫画は、もっと軽いタッチの作品の方が好きだったっていう記憶がある。
この作品が、少女漫画史に残る名作だったって聞くのは、相当後になってからであった。

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河あきら『いらかの波』

で、その後中学生になって、初めて付き合った彼女がいたんだけど、その子が1980年にして中学2年生にして、世界中のなによりもピンクフロイドが好きという変質者で、その彼女に薦められて読み始めたのが、青池保子先生の『エロイカより愛をこめて』と、魔夜峰央先生の『パタリロ!』だった。

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青池保子『エロイカより愛をこめて』
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魔夜峰央『パタリロ!』

この二つ、いまだに続いているけど、共に、つくづくすごいね少女漫画はと思わせてくれた作品。
東西冷戦を娯楽に上手く落とし込む作劇は、おそらく『ゴルゴ13』よりエロイカの方が上だろうし、魔夜氏の博学さと「削れない才能」さは、どのギャグ漫画家よりもタフ。

んで、左翼でパンクスでもありながら、新撰組マニアでもあったという、よくわからないノンポリの筆者としては、新撰組漫画の最高傑作は、実はみなもと太郎氏でも和田慎二氏でもなく、木原敏江『天まであがれ!』だったりする。

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木原敏江『天まであがれ!』

この漫画、悪し様に言ってしまえば、『ベルサイユのばら』ブームに便乗して、フランス革命を日本史の明治維新に置き換えただけの、司馬遼太郎『燃えよ剣』をまんま少女漫画アレンジで置き換えただけの漫画なんだけど、そのアレンジの仕方と、そこへの少女漫画要素の差し入れ方の巧みさにはうならされた。たった二人のフィクションの少女登場人物を配置するだけで、見事に「漢の世界の美学」みたいな司馬史観に対する、女性原理のアンサーが成り立つという構造論。
しかも、少女漫画の持つ「泣かせ」のテクニックを、クライマックスにいかんなく発揮して、号泣なくしては読めない傑作に仕上がってる。
筆者の中では新撰組漫画ベストはこれ。
第二位は望月三起也『ワイルド7』だ。異論は認めない(笑)

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