――『Zガンダム』『ガンダムZZ』での演出の多くでは「設定だけで終っていたギミックや武装」が、『逆襲のシャア』では、モビルスーツの武装はほぼ全て演出で使われていましたね。

『逆襲のシャア』より。ギラ・ドーガのシュツルムファウスト

出渕 例えばギラ・ドーガのシュツルムファウストって、もう『逆襲のシャア』のコンテが出来てるときに無理矢理付けちゃったんですけど、あれは本来掴んで先端を発射する武器なのに、もうミサイル風に発射してっていう感じになっちゃってましたね(笑) α・アジールだって、頼まれもしないのに描きましたからねアレ(笑) 最後に出てくるのは、やっぱりモビルアーマーかなって思って勝手に描いたんです。本当はサイコ・ドーガ(完成作品におけるヤクト・ドーガ)で行くはずだったんですけれども、結局、富野さんがそれを拾ってくれたというか、α・アジールってネーミングセンスはすごいなぁって思いましたね。親とも縁を切って、行く場所を求めて彷徨っていたクェスが、初めて見つけた(α)避難場所(アジール=asylum)っていう意味ですからね。どっちにしても『Zガンダム』『ガンダムZZ』があったから『逆襲のシャア』が出来たんですよ。『Zガンダム』でやろうとして、さっき言ったみたいに「これは失敗だ」で繰り返していたものを、本来やろうとしていたことを、コンパクトにまとめたのが『逆襲のシャア』ですから。『Zガンダム』でプレでやって、成立出来てるから富野さんは『逆襲のシャア』が出来たんだと。

――そう考えると、続編以降の『ガンダム』で、「ジオンの系譜のラスボスが乗るモビルスーツ」としては、個人的には永野さんのキュベレイも大好きなんですが、やはり出渕さんのサザビーが決定打だった気がします。

出渕 キュベレイは、ハマーンが乗るのに相応しい綺麗な機体ですよね。でも(『ガンダムZZ』で)量産型は作ってほしくなかった(笑) あれはなんか、デザインも改悪してるしなぁ。

次回「出渕裕ロングインタビュー7 出渕裕とナイチンゲールと高橋良輔と」

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