実質的には、円谷プロテレビヒーロー・ウルトラマンと、円谷英二映画怪獣王・ゴジラの戦いは、青空背景ホリゾント・草原土台・緑山セットに、青セロファンで表現した湖とで構成されたセットで撮影された。

まずはウルトラバトルゾーンの科学特捜隊基地の画像から。

発進しようとするビートルカットまでを経て、北山湖の水中を探査する特殊潜航艇S21号カットは、1回の『ウルトラ作戦第一号』からのバンクカット。

ビートル降下飛行のカットに続いて、ようやく主役怪獣ジラースの登場。

続いてハヤタの変身カットでは、本編演出に沿って、ハヤタの体を取り巻く光の輪をフォトショップで描画。

現れたウルトラマンとの、西部劇のような岩射撃合戦では、発泡スチロールブロックから削りだした岩を操演で撮影し、そこにジラースの熱線やバンクのスペシウム光線を重ねて合成した。

改めての、両者の肉弾戦を経て、時らー図の襟巻きがもがれる場面からは、実際に襟巻きを外したバージョンのソフビを撮影に使用。

外しておいた襟巻きを、ウルトラマンの手に固定させて、劇中同様闘牛シーンを再現した。

静かなにらみ合いから、クライマックスは、今度は時代劇の剣豪同士の一撃必殺のすれ違い決着。

このカットでは一瞬走るスパークもフォトショ描画。

再度にらみ合うジラースの口元に流れ落ちる血は、実際にソフビの口元に、Mrカラーのレッドを塗りつけて撮影した。

西部劇や時代劇の演出を取り入れた、怪獣王と無敵のヒーローの戦いに相応しい構成だったが、その本編の面白さが少しでも伝わっていれば幸いである。

ジラース

怪獣王・ゴジラを改修して登場したえりまき怪獣ジラースは、定番のアイテムでもある、バンダイウルトラ怪獣シリーズのジラースを使用した。

本シリーズにおけるジラースは、特殊な経緯で商品化されたアイテムである。

まず最初の商品化は、シリーズが旧作怪獣を積極的にリリースしていた1995年。

この年に展開されていた商品に、「ウルトラバトルゾーン怪獣大決戦場」というのがあった。

これは、子どもが怪獣ソフビで遊ぶマットベースという趣旨の商品で、その第一弾となったセットには、都市部を再現したビニールマットに、ビルや橋のミニチュアがいくつか付属していて、それにオリジナル造形の、ウルトラマンとジラースのソフビが同梱されていたという商品仕様。

この時に新規造形で発売されていたジラースが、成型色と塗装を変えて発売されたのが、1998年版の一般発売版ジラースなのである。

バンダイは以前にも、1989年に『ウルトラ怪獣伝説』という、オリジナルの怪獣ソフビと、その怪獣が登場するビデオとを、セットにした商品を展開したことがあったが、この時も、ビデオと同梱されていたキングザウルス三世やシュガロンは、その後に通常ラインナップに組み入れられて一般発売されたことがある。

今回使用したのは、一般発売版のジラースソフビであるが、その出来はさすが90年代のバンダイだけあって、元となったゴジラを巧みに再現しつつ、ジラースの記号である襟巻きを、しっかりとしたボリュームで造形した出来。

ソフビの構造の都合で、襟巻きの厚みがかなりあるが、それ以外は第三メーカーによるガレージキットと比較してみても遜色はない。

今回は、そのジラースを二体用意して、襟巻きが剥ぎ取られる前と、取られた後を別個に再現して、演出に使用した。

襟巻きを外した方のジラースは、本当にソフビの襟巻きをカットして、空いた隙間にポリパテを詰めて、ピンクと赤で塗装した。

(襟はずしジラース写真)

後は二体共に、目と瞳を黒と白とオレンジで再塗装したが、ボディその他はリペイントは施していない。

襟巻きを外した方のジラースの口を、閉じた状態で固定したことで、多少演出の幅が広がったのではないだろうか。

版権上の微妙な都合があるのかもしれないが、このジラースは、番組内での演出の良さやソフビ自体の出来の良さも含め、定番ラインナップに入らないのが惜しまれるアイテムである。

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