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「ダブルライダーの雄姿」と聞けば、このスチルを思い出す人も多い筈!

見ている子どもは驚くばかりで誰も不条理には突っ込まない。いや突っ込めない。
「ウラニウムの数百倍の放射能を発する鉱石を発見してしまった!」とか、いや、それが本当ならそれ既に貴方死んでますよね的なトンデモ設定は基本仕様。
本郷猛と滝和也を、バイクレース中に狙うショッカーの計画はまぁいいとしても、ヘリから爆薬落として爆死させるつもりなら、スタートする前にスタート地点で放り込んだ方が狙い外さないですむんじゃないか?とか、それもそれで突っ込んではいけないタブーポイント。
ダブルライダーとショッカーの「博士とその娘」の人質交換でも、本郷が(敵に引き渡される)博士に成りすましてショッカーを騙すのは良いとしても、仮にショッカー側も替え玉を使っていたとしたら、どうするつもりだったんだダブルライダー!
というか、その取引騙し討ち成功はどうみてもダブルライダーの方が卑怯なのが伊上節(笑)
平成ライダー作家の息子の中二病作風など、吹き飛ばす怪気炎で物語は(ここではあえて、敬意を表して「ドラマは」等とは言わない)怒涛のように進行するのだ!

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この時点で、改良型サイクロンが2台あったことが分かる。カウルの造形で見分けがつく

敵も味方も、言わなくていい情報をすぐに口にして、それが相手にしっかり聞かれてるとか、主役の登場の仕方がドスの聞いた笑い声と共にシルエットで現れるという、どうみても悪役でしかなく、アクションでも殺陣的に容赦はしないというのも東映流。
仮面ライダーV3・風見志郎を演ずる宮内洋の、ナルシズム全開のアクションは、戦闘員や怪人を一人殴り倒すたびに見得を切るという、杉良太郎経由京本正樹行きの、自分大好きっ子主人公のアクションが、これでもかと全編で展開する。

ショッカーのオートバイ部隊の戦闘員の頭部が、よく見るとヘルメット仕様になっている辺りにはまだ「撮影現場での人権」が感じられるが、ブームも自家中毒も有頂天状態、狂騒状態ピークのV3劇場版のクライマックスの頃になると、「普通に人がまとめて数人死ぬレベル」の爆薬が、これでもかとふんだんに使われて、いやぁまぁ大河さんも本籍地は東映△マークだから、いろいろ武勇伝は聞いてきたけれど、これ「子どもにもっと喜んでもらいたいから」とかの美談レベルで、許認可しちゃぁいけないよねとしか言えないリミッターぶっちぎりの火薬使いたい放題

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1号、2号、V3の、三人ライダー!

今でこそウルトラシリーズ『シルバー仮面』(1971年)『海のトリトン』(1972年)などが、その奥深いテーマ性だとか、人間ドラマの高水準さだとかで語り草になっているけれども、当時の現役の子ども達の多くは、この『仮面ライダー』シリーズと、同時期にブームになった『マジンガーZ』(1972年)系の二大巨頭の「思考停止完全娯楽主義、快楽クライシス爆裂カタルシス」東映イズムに酔いしれていたのだねぇと再確認。
そもそも『仮面ライダー』はシリーズ2クール目から、番組強化案として、「明るくカッコよくスピーディにシビれる!」方向へと、具体的に言うなら「子ども向け『キイハンター』(1968年)路線へ」と変更されたのは有名な話なんだけど、むしろこの時期の(イイ角度での)えげつなさと殺伐さは、後の『県警対組織暴力』(1975年)辺りへ続く「△の血脈」みたいなものの、英才教育的な「何か」が感じ取れてワクワクさせてもらえます。

決して「人生で向かって行ってはいけない方向」への道しるべの第一歩として……。

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