ウルトラが35周年の2001年に向かって商品展開も過去の作品商品が発売され盛り上がっていく中、まず最初にリリースされたのはペギラだった。

ペギラ

ペギラのソフビ化は、雑誌ハイパーホビーにおいて行われた、第1回バンダイ怪獣ソフビリクエスト人気投票において、第一位を獲得したためにラインナップされたのである。
その造形は、さすが近年のフィギュアクオリティとも言うべき逸品。
ペギラ独特の、高山造形の特色「眠たそうな眼」もしっかり再現。
翼の皺や体表モールドも、ソフビの再現範囲内でしっかり表現されている。
しかしその一方で、固定ポーズのスタチューとなってしまい、子どもにとってはプレイバリューが低くなってしまったところは、やはり「ソフビは子どもの玩具」として捉えると考えもの。

『東京氷河期』 再現のカラー版


もっとも、ペギラの場合は、大きな翼は可動させにくいし、劇中でもほとんど、翼を広げたポーズが印象的だったし、そもそも、子どもが『ウルトラQ』を観ているケースも少ないだろうしで、ギリギリ許容範囲といったところではないだろうか?
ちなみにこのペギラは、人気投票を行ったハイパーホビー誌限定でモノクロバージョンが発売されたほか、実際の着ぐるみ同様に、首だけ挿げ替えて新造形されて、『ウルトラマン』(1966年)に登場するチャンドラーとして、2003年に、ウルトラマンフェスティバルで発売されている。

続いて2000年に発売されたのがケムール人。

ケムール人

この頃から、バンダイウルトラ怪獣シリーズソフビのリアリズムはピークに達し始める。
成田デザインと高山造形が表現した、芸術的なケムール人の頭部や、古谷敏氏のスタイルを、忠実に再現したシルエットなど、そしてまた、全身に施された絶妙のブラシ塗装加減も含めて、もはや文句を付けようがない出来上がりをみせている。

『2020年の挑戦』 再現のカラー版


指先の演技まで表現しているソフビが、数百円で手に入る時代。
マルサンから34年で、ここまで来たのだなぁと、筆者などは店頭で、感嘆のため息を漏らしたものである。

そして、ウルトラQ登場怪獣ソフビ化の最後はゴメス。

ゴメス

このゴメスも、ハイパーホビー誌の第2回人気投票で選ばれた形で、2000年にソフビ化されたという経緯を持つ。
そしてハイパーホビー誌上限定で、モノクロバージョンが発売された辺りもペギラと同じ。
ちなみに、第3回は『ウルトラマン』に登場するペスターである。
ゴメスはそもそも、東宝の怪獣ゴジラの着ぐるみの改修怪獣であるが、同じようにゴジラから改造されたウルトラ怪獣の、ジラースのソフビと比較してみると、バンダイソフビの、1995年から2000年までの5年間においての、造形技術の差が感じ取れて、面白いかもしれない。

このゴメスを最後に、ウルトラQ怪獣はリリースされていないが、例えば『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(2008年)で、正義側の怪獣として、リトラが大活躍したように、円谷プロは(商的な目論みも含めて)過去の怪獣に、新たな価値観を付加していく手法も、積極的にとっていった(その後のケムール人やM1号や、なによりセブンガー等のロンダリングは目覚ましかった)。
そういったプロセスがあれば、今は陽の光が当たらない、ウルトラQのマイナー怪獣も、また脚光を浴びる日がくるかもしれない。そういった日を夢見れば、まだまだ希望が持てるというものである。

『ゴメスを倒せ!』 再現のカラー版

ちなみに、今回の再現で使用したリトラは、バンダイのHGウルトラマンシリーズ「円谷英二セレクション」でラインナップされた、リトラを使って撮影している。

ちなみに、ゴメスは多少塗装のバージョンを変えただけで、『ウルトラマンサーガ』(2012年)という劇場用ウルトラマン映画の商品として、再販がかかったのが最後だった。思えばアーストロンやこのゴメス(再販)や、この映画自体が、バンダイと円谷プロが一区切りをつける句読点としての作品だったのかもしれない。

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