バンダイウルトラ怪獣シリーズ・ウルトラQ怪獣

今回は特別編として、多数の怪獣アイテムどころか、電車や子どもまでが登場するので、アイテム解説ではその中でも特に中心を勤めた、バンダイのウルトラ怪獣シリーズの解説に絞りたい。

1983年に展開が開始された、旧バンダイウルトラ怪獣シリーズでウルトラQ怪獣は、2013年の展開終了までに6体が発売されており、今回はその全てを使用したことになっている。
まず、ウルトラQ怪獣が最初に発売されたのは、シリーズが開始された1983年。
選ばれたのはいかにも無難な、ナメゴン、ガラモン、カネゴンだった。
それらの造形は、特筆すべき部分も特になく、可もなく不可もない出来栄えといったところか。

ガラモン

2008年になっても「大怪獣バトルシリーズ」として再販されていた(この辺りの意固地さは、ゼットンやテレスドンにも通じたバンダイの意地だったような気がする)。
悪名高い造形のガラモンも、それは現代の目で見るから辛いのであって、このガラモンが発売される、たった4年前の造形である、旧ポピーキングザウルスシリーズのガラモンなどと比較してみれば、当時としては、頑張っていたことが窺い知れると思う。
そもそもガラモンは、その「全身を覆う棘」がネックとなって、歴代マスプロメーカーの玩具では、その個性を再現しきれてなかった。
その典型例として特に酷かったのは、80年代にバンダイが発売した「The 特撮コレクション」なるプラモデル版のガラモンであり、このキットは全身を覆う棘を、全て別パーツにして付属させるという、野心作ではあったものの、野心に技術が追いつかず、その棘の数が致命的に足りない結果、まるで脱毛症にかかったハリネズミのような、なんとも形容しがたい、哀愁漂う貧相なガラモンになってしまっていた。

『ガラダマ』 再現のカラー版

ウルトラ怪獣シリーズのガラモンは、棘の表現以外にも、顔の造形の酷さ(その顔はまるでゴリラのようだ)や、タイラントと同じ「尻尾が直立に伸びていて、ソフビが真っ直ぐ立たない」などの欠点を抱えたままシリーズ最後まで現役選手だった訳だが、1983年組のソフビとしては、数少ない生き残りであるだけに、筆者などは、愛着がわいてしまっているのも事実。
ちなみに、ウルトラQ怪獣のソフビでシリーズ終了までに、造形がリニューアルされたソフビは一体もない。(『ウルトラQカラー版BD-BOX』付属の新規造形ガラモンは、素晴らしい出来だったが、あれを840円商品シリーズの一つとしてはカウントは出来ないかなと思う)
今回はそんなガラモンを、口や瞳、腹などをリペイントして、撮影に使用している。(結果的に、完成した画像は白黒になるのだが、まぁその辺は気分の問題ということで……)

そんなガラモンと比較すると、ナメゴンやカネゴンは無難な出来。

ナメゴン

バンダイウルトラ怪獣シリーズのナメゴンは、そのフォルムやディフォルメが、どこかソフビ界では伝説の「マルサン ジャイアントナメゴン」を彷彿とさせる。

マルサン版では筆塗りで表現されていた髭も、バンダイ版ではしっかりモールドで表現されているし、元々派手なポーズをとるタイプの怪獣ではなかったので(若干目が小さいという難点を覗けば)今でも通用する出来だろう。
しかしナメゴンの場合は、致命的に現代に通じるキャラ人気がなく、また『大怪獣バトル』でも冷遇されていたため、最後まで再販などには恵まれなかった。けれどもレア的プレミアはついていない。
逆な意味で稀有なソフビである。

『宇宙からの贈りもの』 再現のカラー版


ナメゴンも、ガラモン同様、カラー版『ウルトラQ』BD-BOX特典で新規造形版が付属していたが、一般販売には至らなかった。
個人的な好みから言えば、怪獣らしくない体形の黎明期怪獣という意味では、好きなキャラクターである。

カネゴン

一方カネゴンは、2000年代に入っても、究極大怪獣版などがリリースされてフィーチャリングが続いていったため、この1983年ソフビ版の、立体解釈としての正確性は、薄れてしまった感は否めないが、それでもマスプロソフビとしては、2013年のシリーズ終了まで及第点のクオリティを保っていた(そういえばカネゴンもBD-BOX付属品で、なぜか「首から下だけ新造形の『座ってるカネゴン』ソフビが存在していた。なぜ頭部だけ新規造形しなかったのか永遠の謎である)。

筆者が手に入れたバージョンの塗装は、鮮やかなオレンジ色をベースに、銀のスプレーという状態。
カネゴンも、キングザウルス版から比べれば格段の進歩を遂げており、横から見た時の「成田亨S字カーブ」も微妙に再現されている。
カネゴンならではのキャラクター性も考えれば、リアリズムはこの程度のバランスが一番ではないかと考える。

『カネゴンの繭』 再現のカラー版

バンダイのウルトラQ怪獣ソフビは、長らくこの3体だけであったが、1999年から2000年にかけて、旧作怪獣再評価の波を受け、新たに3体のQ怪獣ソフビが、ラインナップに加わった。
それが、ペギラ、ゴメス、ケムール人である。
確かに、マーチャンダイジングが確立されていなかったウルトラQ時代の怪獣を、キャラ人気の順番で商品化するとなれば、この選択は無難であるし、的確であろう。
個人的には、ラゴンやゴルゴス、ラルゲユウスやバルンガ、パゴスなど「もう一声」が欲しかったところであるが、ウルトラQ怪獣で、ソフビ化すべきキャラを上から6体選べと問われれば、この6体という選択は、余計な思惑を入れることなく「正しい」のではないだろうか。

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