放映当時の旧キットも、ガンプラ史上初のムーバブル・フレームを再現するなど、生真面目な姿勢に好感が持てたキットではあったが、このHGUC版ではそこからもっと「設定画に近い」脚や腕の太さ、シルエットにおけるメリハリ、デザイン的バリューがより明確になったディテールなど、「正確さ」がこの時点で完成している。

口さがない言い方をしてしまえば、今現在最新の1/144キットになる、HGUC REVIVE版百式は、可動と色分けこそ再生(REVIVE)の名にふさわしく、より緻密に、より高度になってはいるものの、ことプロポーションに関しては、少し「小顔・脚長」ヒーロー体型アレンジがキツすぎて、時代はアレを「カッコいい」と称するのかもしれないが、少なくともあそこまで行ってしまうと、もはやREVIVE版はアニメ版『Zガンダム』のメカではないとすら思えてしまう領域にまで踏み込んだアレンジがなされている。

上半身の可動範囲

腕の可動に関しては、肩は70度近く、肘はギリギリ90度に届かない程度か。
肩の開き角度に拘るガンプラファンも多いが、昨今のHGUCの(多分REVIVE版ガンダム辺りからの流れの)「肩アーマーごと上方へ上がる」システムは、デザイン上どうしても仕方がない場合や、それこそガンダムのラストシューティングのように「そのギミックなしでは再現できない名ポーズ」でもない限りは、ちょっと見ていて「そこまでしなくても」と思ってしまうのは、筆者の価値観が古いからであろうか?

下半身の開脚

下半身の前後可動

さすがに膝関節はこの写真よりは曲がるが、それでも膝立ちや正座などは無理なのは時代なりか。というか、「モビル・スーツに正座をさせたい人」ってぶっちゃけどれだけいるんだろうか。そして、それは何が楽しいのだろうか?と素で思う。
もちろん、幼児期からアクションフィギュア派、可動派育ちの大河さんとて、関節が動かない超合金よりも、変身サイボーグを好んでいた70年代を想えば万感募る部分はあるのだが、過ぎたるは及ばざるがごとし。エスカレートしていく可動範囲拡大主義は時代の要請なのかもしれないが、ゴールは果たしてどこにあるのだろうか。

あくまで「百式の」オプション一覧

そもそもの百式のランナーは全てこの商品には含まれているので、そちらで付属していたビーム・ライフル、ビーム・サーベル、クレイバズーカ、武器握り手首はこちらでも揃っている。
ライフルなどは色分けが足りなかったり、分割が真ん中だったりいろいろ残念だが、ガンプラは1/144だと、RG以外ではどれだけモビル・スーツ本体の分割が進歩しようとも、武装類は頑なにモナカ分割なのが謎である。昨今のHGUCなど、色分けまで別パーツで補っておきながらも、肝心のライフル本体は左右貼り合わせという仕様がまだまだ健在なのだ。
ライフル専用手首の存在は、むしろ近年無視されがちになってきている部分だけに、この時期のバンダイの仕事の丁寧さを見るようで嬉しいオプションだ。
また、このキット辺りからそろそろ「ビーム・サーベルのビーム部分をクリアパーツに」がHGUCでも試行錯誤で行われるようになってきた。
今回の百式は柄まで含めてクリアパーツ。ガンダムMK-Ⅱやゼータガンダムは、ビーム部分まで柄の成型色。
無塗装派からすると、どちらが飾り栄えするのかは悩むところだと思うが、やがてバンダイは「ビーム・サーベルのビームの部分」だけを、色と形別に複数種類用意して、それぞれのスケールやサイズ、形状ごとに使いまわす方法」でこれを解決することになった。
汎用型のビーム部分のパーツは、そのランナー記号から「SBパーツ」と呼ばれている。
これは良い意味で革新的なことであり、ビームが発生していない時の柄のパーツも無駄にならないし、1/144でも1/100でも汎用的に運用ができる(例えば、1/144でも巨大モビル・スーツになれば、通常の1/100に使うSBナンバーパーツを回し、逆に小型モビル・スーツの1/100では、1/144で多く使われているSBナンバーパーツを用いる等)。
たまに「このモビル・スーツにこの長さのサーベルはあり得ないだろう」といううっかりミスも起こすが、極太巨大なビーム・サーベルが売りだったHGUCガンダムZZに1/100クラスのSBナンバーパーツを付けるなど、フレキシブルな運用はメーカーもユーザーもWin-Winではある。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事