『俺たちの勲章』の優作も雅俊も、『傷だらけの天使』のショーケンも水谷も、暖かく迎え入れてくれる、父性も母性もない世界で、目指すべき夢もなく、ただただ「目の前に存在し続ける現実」から目を逸らさない。
 いや、逃げ場がないから、何処へも逃げられないまま、足掻くしかないのである。
 そして彼らはどちらのコンビも、最終回では「何もかも」を失って、放り出され、残る物もないまま別れ去っていく。

 『傷だらけの天使』最終回『祭りのあとにさすらいの日々を(市川森一 工藤栄一)』
 そこでショーケンと水谷豊は、信じていたもの全てを最終回の冒頭で一瞬にして失い、とにかく、どうすればいいのかも分からないまま慌てふためき、逃げるあてもなく、頼れる伝もないまま野良犬のように足掻き彷徨い続けるしかない。
 そしてやがて、水谷豊は「たかが風邪」でコロリと死んでしまい、その死体を乗せたリヤカーを引っ張ったショーケンの疾走で、ドラマは幕を閉じる。

 『俺たちの勲章』最終回『わかれ(鎌田敏夫 降旗康男)』では、雅俊が、偶然出会った流れで愛された女性を守ろうとするが、その女性が密かに抱いてきた「本当の愛」を守るためにあえて、捜査本部の方針に逆らったとして、優作と雅俊は事件解決後に左遷を命じられる。
 積み上げてきた物全てを失った雅俊は、刑事を辞める決意をして列車で姿を消すが、刑事としてしか生きられない自分を知っている優作は黙って左遷を受け入れ、どことも知らない警察の射撃訓練場で、銃を乱射しながら泣き笑い、そこに「おわり」のテロップが被り全てが終了する。


 「70年代を代表する、刑事・犯罪ドラマ」はなにも、その2作だけではない。
 もちろん、今回のシリーズ記事冒頭で記した『太陽にほえろ!』は70年代に刑事ドラマを普遍的ジャンルにさせた象徴だろうし、刑事ドラマの時代的代表作といえば、太陽と並んだ二大巨頭シリーズが存在している。
それは『七人の刑事シリーズ』『大都会シリーズ』だった。

次回『犯罪・刑事ドラマの50年を一気に駆け抜ける!(70年代をナメるなよ)』Part3』へ続く

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